脱法ハウスにガイドライン?

以前のブログで、脱法ハウス問題の解決の方法として、
ガイドラインの策定ができることを予想致しましたが、
実際にガイドラインなるものが出来て来たようです。

ただ、このガイドラインは、国土交通省が定めたものではなく、
シェアハウスの団体が独自に定めてものであり、
法律的な強制力はなにもないのが実態です。


2つのシェアハウス団体が独自のガイドラインを提示しているが、
両社とも甲乙つけがたい内容になっているようです。

日本シェアハウス・ゲストハウス連盟

上記の団体が発表したガイドラインは以下の通りです。

1.
各シェアハウスの許容人数について今後、連盟は各シェアハウス物件最大許容人数×9.84㎡が、延床面積以下であることを推奨基準とする。
推奨基準を満たさないシェアハウス物件を所有している連盟会員は、最大許容人数×7.38㎡が、延床面積以下であることを最低基準とし、今後5年以内に連盟推奨基準を満たすよう検討、対応をしていくこととする。

2.
建物用途について各シェアハウス事業者が運営する建物の建築確認届出済み用途は、住居系建築物である「一戸建ての住居」、「長屋」、「共同住宅」、「寄宿舎」、「下宿」のいずれかであることとする。現在これに適合していない物件(例えば、建物の用途が事務所、倉庫、自動車車庫などの物件)を運営中の場合には、その用途変更を速やかに行うこととする。

3.
入居者との契約について入居者との契約は普通建物賃貸借契約または定期建物賃貸借契約とする。

4.
マンションを使用してシェアハウスを運営する場合
区分所有建物(マンション・団地等)をシェアハウスに転用する場合、管理組合の規約を守り、またその了承を得ることとする。

5.
各シェアハウスのデータ管理について運営するシェアハウスの建物住所・居室数(個室数と相部屋数)・延床面積に関するデータを連盟で収集し、会員
専用ホームページ内に保存することとする。

6.
防火管理者の資格取得シェアハウス事業者は、組織内に最低一名は防火管理者の資格を有することとする。

7.
防火対策の周知徹底入居者に対し防火対策、避難口、避難方法等を周知させることとする(マニュアル等の作成または定期的な避難訓練など)。

注目すべき点は、
1の7の部分かと思います。

1は、シェアハウス一人あたりの面積を規定しております。
一人当たり9.84㎡と策定しているので、
100㎡なら10人までといった感じのようです。
この数字の妥当性はわかりませんが、
今後の指標となりそうですね。

7は、入居者の生命に関わる消防関連については、
しっかりやりましょう!という内容です。
当たり前と言えば、当たり前なのですが。。。

上記の内容は、
常識のある方からすると“すべて当たり前じゃね?”と思われる方も多いかと思いますが、この当たり前は守られていない物件が多かったということを表しているでしょう。
※もちろん、きちんと最初から順守している物件も多かったと思います。


日本シェアハウス協会

ガイドラインについては明確にHPには記載されていませんでしたが、毎日新聞の抜粋は、以下の通りです。

新規参入組が多い協会は、既に定めている自主基準を点数化し、100点満点で80点以上の物件に、9月から「登録証」(ステッカー)を交付することを決めた。1棟当たり審査料は3万円、登録料は2万円。自主基準では、各居室の最低面積は「1人当たり4・5畳以上を厳守」と規定、1981年以前の旧耐震基準で建てられた物件には耐震診断や耐震工事を求めるなど、連盟より「厳格」な部分が目立つ。

こちららは、一人当たりの居室の広さが4.5帖以上と規定しているようです。
先ほどの連盟は、物件全体として9.84㎡としているのに対して、
こちらの協会は、居室が4.5帖(7.29㎡)としているのが違いますね。

ただ、こちらのシェアハウス協会の加盟団体には、
シェアハウスを運営している団体はとても少なく、
工務店の方や不動産業者の方がメインになっています。
そういった意味で、
利益重視の姿勢が強く、
必要以上に建築コストをあげようとしている意図も読み取れます。
※そもそも、シェアハウスを運営していない方々による団体がシェアハウスのガイドラインを作ること自体に強い違和感を感じます。



間違いなく言えるのは、両方のガイドラインは、
とてもざっくりしすぎており、
かつ、あまりにも当たり前のことしか記載されていないという点です。

おそらく、真面目に入居者の方をしっかり考えて運営してきた企業にとっては、鼻で笑ってしまいそうな内容かもしれませんね。

いづれにせよ、
両団体とも加盟数がとても少ないので、実効性がどこまであるか不明ですね。
※日本シェアハウス・ゲストハウス連盟は、34団体。
※日本シェアハウス協会は、41団体。(シェアハウス運営会社は3割程度)


最後に個人的な感想を言うと、、、
このガイドラインは誰のために作られているのか?
という疑問がわきましたね。
どちらもシェアハウス運営会社(自分たち)を守るためにガイドラインを作っており、
入居者のことがあまり考えられていない点が残念に思います。
シェアハウスに住む人のことを本気で考えているのであれば、
入居者へのアンケートデータをもとにガイドラインを作るのは妥当では?と思います。
どこまで行ってもこの問題において、入居者は蚊帳の外ですね。、