脱法シェアハウスの現状と未来予想図

マンボー事件が発生してから、至るところに脱法ハウスの影響が出ているようです。

そもそも、脱法ハウスは何が問題視されているのか纏めてみます。

  • 1.7帖で窓なしのお部屋

ええ?そんなお部屋が本当にあるのか?と疑いたくなるような事実でありますが、お部屋は2帖もない。そして、窓もない。という本当にここで人が暮らせるのか?と疑いたくなるような環境だったようです。さらに、壁は薄くて、隣の声がまる聞こえのようです。もう、プライバシーという言葉はないですね。さらにさらに、ベランダなども当然なく、お部屋も狭いため、洗濯モノを干す場所もなかったようです。
なお、共同住宅の場合は、7平方メートル以上ないと違法建築になるようです。(東京都の条例)

管理会社であるマンボーは、住居としてではなく、レンタルオフィスとして契約していた模様です。もちろん、契約している方は住居として利用しており、また住民票も移していたことから、実態は住居です。住居とオフィスでは、適用される法律が異なります。これが違法シェアハウスと言われずに脱法ハウス言われる由縁ですね。

  • 消防法を順守していない

上記の通り、実態は住居ですから、共同住宅としての消防法を順守する必要性があります。火災報知器の設置や2方向避難経路の確保などですね。こういったものも全然順守されておらず、もし火災が発生した場合、多くの犠牲者が出ていたでしょう。火災が起きる前に、この事件がメディアに取り上げられるようになったのは、幸いと言えるかもしれません。。。


こう書いてみると、ダメなこと尽くしですが、逆にどんなメリットがあるのでしょうか?

  • 賃料が非常に安い、というか激安

都心の一等地でも3万円という信じられない賃料設定がされていたようです。さらに、敷金・礼金も掛からないということで、初期費用もランニング費用も激安ということですね。都心でまともなワンルームを借りると、6万円・7万円かかりますから、その半額以下で借りられるというのは、非常に大きなメリットですね。
ちなみに、ネットカフェを1か月借りる金額と同じ程度らしいですね。ネカフェに住むより、マシという考え方もあったようですね。

  • 住民票を移せる

先ほど、少し書きましたが、この脱法ハウスに住んでいる方の大多数が住民票を移していたようです。これがあると、就職活動が普通にできるようになりますから、地方から上京してきた方にはとてもありがたいですね。


まあ、一言でいえば、安かろう悪かろう、という住居が脱法ハウスですね。
安かろう悪かろうという商品は、不動産に限らず世の中にはたくさんありますし、品質を気にしないというユーザーはたくさんいます。

でも、それが住居だと、違法となってしまうようですね。確かに、火災時の避難経路などがないということは人命にも影響があるので、ある程度の規制・ルールがあることは必要なことではあるでしょう。

でも、選択権がユーザーにないというのは少し引っかかるところであります。要は、脱法ハウスに住んでいたユーザーは、不満を持ちながらも長期間住んでいる人もいたという事実(納得しながらお金を払い続けたという事実)があり、脱法ハウスを必要としていた、ということです。

住むところに6万も7万も払うことが(心理的or経済的に)出来ないと考えているユーザーも結構いるということですね。確かに、寝に帰るだけのお部屋であれば、狭くてもベッドがあればいいかもしれませんし、家賃を抑えることで別のところに自己投資を出来るようにもなります。これは実際に聞いた話ですが、賃料は安めの物件に住んで、浮いたお金は海外旅行に充てるといった発想を持って暮らしている方もいるようです。

成熟社会を迎えた日本には、多様な価値観や考えを持って暮らす方が増えてきていると思います。今までの駅近とか、お部屋が広い物件がいい!という考えは、今でも残っていますが、そういう風に考えない方が増えてきているのもまた事実です。なので、最低限の安全性は確保しなくてはいけないかと思いますが、ユーザーの価値観にあった低価格の住居は必要かもしれませんね。


なお、今後は、脱法ハウスについてどのようになる可能性があるか予想してみましょう。

まず、これはかなり高い確率で策定されるかと思います。シェアハウスとはそもそもなんぞや?という定義も曖昧であり、用途的にも寄宿舎なのか共同住宅なのか、明確な定めがありません。要はかなりグレーな部分が多いのがシェアハウスだったりします。なので、このグレーゾーンの現状に、白・黒をはっきりさせるようなガイドラインが必要になるでしょう。

ただ、シェアハウスの実態、脱法ハウスの実態を把握していない役人の方にしっかりしたガイドラインが作れるかどうかは定かではありません。
なお、先月、国土交通省がシェアハウス管理会社にアンケートの回答を依頼しましたが、回答率は3割程度だったようです。要は、脱法ハウスを運営しているところはアンケートに答えなかったんですね。これじゃ、役人さんも実態がわかりません。アンケートなど取らずとも、役人もタワーマンションに住むのではなく、脱法ハウスに1か月でも2か月でも住んでみたらいかがですかね?これが一番、実態がわかるでしょう。

1981年に建物の耐震基準が変わりましたね。要は、規制が厳しくなったのですが、1981年以前に建てられた建物は新耐震基準を満たしておりません。旧耐震と言われている建物ですね。新耐震基準を満たしておりませんが、その建物を取り壊すような命令は出ませんでした。ただ、重要事項取扱い説明で、その旨を説明する義務はあるようです。

シェアハウスも上記と同じように、ガイドライン策定前に作られたシェアハウスは、その旨を借り手に説明する義務が今後生じるかもしれませんね。
既に住んでいる人が多くいるので、既存の脱法ハウスすべての閉鎖は、なかなか難しいでしょうね。


まあ、上記はあくまでも可能性の話であり、実態はどうなるかわかりません。
現状を知らない役人が一方的に決めるのではなく、ユーザーの声をうまく反映した形で、みんながハッピーになるガイドラインが出来ることを強く期待したいですね。


■参考サイト
毎日新聞http://mainichi.jp/select/news/m20130806k0000m040130000c.html

シェアパレード:http://sharepare.jp/illegal-house002/

10万円で家を建てて生活する寝太郎のブログ:http://mainennetaro.blog.fc2.com/blog-entry-292.html